杉並区の人たちは、汚いからリフォームするとか古くなったからリフォームするとか、不便だからリフォームすると思っています。これは大きな間違いです。間違いというよりは、錯覚している部分があるということです。今リフォームを考えている杉並区の多くの人たちは、動機として気に入ってるけどある部分は不便だから直したいとか、もっと快適にしたいからという理由を挙げています。
仕方がないから直すというのではなく、もっと生活を楽しむための姿勢が強くなっています。そのほうがとても自然です。高齢の人になると、特に自分の家に思い入れがあります。意気盛んな若手の設計士やコーディネーターが、この際だから思い切って変えましたと現状を完全否定したプランを提出しても、賛同してくれる杉並区の人は少数派になっています。
計画はいかに現状の雰囲気を生かしながら、不便な部分を改善するかがポイントになってきます。改善することよりも、生かすことに注目して計画を立ててください。たとえば柱や鴨居が出ている真壁の和室を洋室にしたい場合、畳をフローリングにするだけでは室内のインテリアバランスは取れません。洋室にするのだから壁は大壁にしてクロス張り、杉柾天井はボードに張りなおしてクロス張りにするなど、ここまで直せば予算オーバーになるかもしれません。
インテリアバランスを考慮しないと、とんでもなくちぐはぐな住まいとなってしまいます。余裕はないけど我が家に愛着があり気に入っているからリフォームしたいというなら、既存部分をどれだけ生かせる計画が可能か考えることが大切です。